2010年01月17日

「字幕」それとも「吹替え」?

【以下は2007年7月8日初出の記事を加筆修正したものです。】


良くも悪くも西暦2009年が3D元年になりそうな力作「アバター」。

先日の記事にも書きましたように、3Dは絶対に吹替えで観るべきだと強く感じました。

これを機に吹替えに対する妙な先入観が少しでも減ればイイなと思います。もちろん「ファイナル・デッドサーキット 3D」をはじめ、良くある話題作り=客集めのために妙なタレントが下手な吹替えをしていないことが前提ですけれど。



私は以前「絶対字幕何が何でも字幕」派=字幕信者だったんですが、最近そうではなくなりました。
ある海外ミステリーの翻訳家が亡くなられて「もうこの名文を読めないのか」と思ったことから、「そう言えば字幕ってどうよ?」と疑問が湧いたからです。


小説と台本どちらも翻訳になるわけですが、映画には時間・画面のせいで制限があり翻訳精度が低下します。
さらに字幕には字数制限があり情報量が低下します。
DVDで原語:日本語吹替え+日本語字幕有りで鑑賞したことがある方ならご存じだと思いますが、吹替えは字幕を音読している訳ではなく全然別物です。

字幕は概ね
・1行10文字、2行まで
・セリフ1秒当たり4文字
・逐語訳ではなく意訳
ですので

翻訳精度:小説>>>>>吹替え>字幕

って感じですね。


そして、字幕も吹替えも物理的に原語を改変しないと仕方ないのですが、吹替えはアレンジするだけで済むところを字幕だと省略せざるを得ないので

『「外国語台本を日本語に再構築する」作業は、字幕翻訳家の個人的な能力に負うところが大きい』

と言うことになります。
言わば字幕翻訳家が作り直した台本を読むって感じですね。

(「字幕は翻訳ではない」早川書房刊(清水俊二:著、戸田奈津子、上野たま子:編集)参照)

「個人的な」とは、例えばニックスや49ersはどこの何のチームなのかとかチョッパーとは何を指すかとかエリザベス女王の誕生日は祝日とか、その国特有の風俗・常識に対する知識も含みます。
時間の関係で、先に台本から字幕を作りその後で映画を見る場合もあるとのことですから修正が追い付かず、戸田さんの「ロード・オブ・ザ・リング」騒動みたいなのが起こる一因になっているのかも知れません。



私の今の結論は

「俳優の生の声が聞ける」ことは「映像に集中できる」ことと相殺するとして

・オリジナルの雰囲気:吹替え<字幕
ですが

・セリフの正確さ:吹替え>字幕
ですので、

内容を理解するためにセリフが重要なミステリーや、人間関係の複雑なドラマは吹替えの方がより理解できると思います。
特に、多人数が同時に喋るシーンはどんなに工夫しても字幕は不利ですね。

そして3Dは、何があろうと絶対に吹替えで観るべきです。


まぁどちらも長所短所があるので観客側で選ぶ必要があるし、また選べることが最良なんでしょうね。

でも

・字幕はセリフのエッセンスを縮めたものに過ぎない
・「吹替え」が格下というイメージは誤り

ですので、字幕信者の皆さんには「字幕神話」をちょっと見直して欲しいなぁと思います。
最近では低下した「国語力」に合わせた、より簡素=原語から離れた字幕になっているように思いますし。



余談ですが、作業時間が限られている劇場版よりソフトの吹替えは良いものが多いので一度試されることをオススメします。
(劇場未公開作品は除く)



観る側が変われば配給する側も考えを変えて、3Dじゃなくてもまともな吹替版の上映を増やすでしょうし、そうなれば選択肢が増えます。世界的に異常な字幕偏重主義が少しでも変わり、字幕も吹替えもどちらも自由に楽しめるようになればと願っています。
posted by mdu at 18:49| Comment(6) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは!

確かに、そうですね。わたくしの拙い英語力でも、字幕に無いことを、言っているのはわかります。特に、DVDで繰り返し見れば、結構面白い台詞が、字幕では、全然伝わらない。

ダーティー・ハリーの台詞など、もともとを聴くと物凄くオシャレですが、字幕では全く伝わらない。その意味ではまだ、吹き替えがマシです。

楽しむべきは、映画そのものですからね。
Posted by サンタ at 2010年01月17日 19:55
こんばんは平謝り

踏み込みましたねウインクおやゆびサインCOOL!

自分のスタンスは[オリジナル至上主義]という所でしょうか人差し指サインにこにこ

原則[製作されたままの言語で観賞する]がポリシーなので、字幕を苦に思った事はありません。

お陰様で色んな趣味が高じて、諸外国の文化・風俗にも知識が広がっているので、外国語のセリフを聞いて字幕を読む前に笑うことも少なくありませんうっしっしおやゆびサイン

ただし…かつて声優を目指した事もあって、吹替を格下に扱う気持ちは毛頭ありませんNG

オリジナルの雰囲気を壊すことなく、日本語のプロである声優サンがフィクスで吹替してくれるなら、これほど理想的な事はありませんチュー2OK!「!!」

あえて自分の意見を述べるなら…

字幕右矢印1戸棚津子至上主義の破壊
(あの方は外国文化に疎過ぎますふっくるり)
吹替右矢印1@ベテランフィクスの起用・常用
A若手声優の外画への起用
B声優という職業の社会的地位の向上
(特に給与・待遇面)
C[一過性の話題作り]的な吹替の廃止


う〜ん…問題山積してます困りあせあせ(飛び散る汗)

とはいえ、理想に至る為にはクリアすべき問題だと思ってますしょぼり
Posted by ボン兄 at 2010年01月17日 23:33
夜/流れ星こんばんはキャラクター(挙手)

mduさんの前述記事「アバター」を拝見して、吹き替えに関してまさに「目から鱗」となりました

頭の硬い人間なので、今まで字幕至上主義でいましたが、まずはCD/DVDを見る時は音声・日本語、字幕日本語で見てみようと思いますにこにこ


今日の記事、私も考えさせられました

mduさんの思いが配給会社に伝わるといいですね

一、鑑賞者として私も何か出来るといいなぁ
Posted by レイ at 2010年01月17日 23:59
こんばんはキャラクター(万歳)

洋画は吹替えばかりで見てるんですが

日本語だから
感情移入しやすいのもあるけど 俳優の吹替えが固定の声優なら
良いけど たまに全然別の声優に変わってたらガッカリしたり…

声が俳優に合ってるから声優が故人になられた為に交代した
クリントイーストウッド(故・山田康雄氏)コロンボ(故・小池朝雄氏)とか 別人に見えたりします…困り
Posted by ☆戸川倶楽部☆ at 2010年01月18日 01:13
うむ「字幕派」と「吹き替え派」の抗争は、ライカンと吸血鬼のように何千年も続いてきたものなのでなかなか和解の道は険しいかと。




私の知る限り、字幕派と吹き替え派の主張する双方の長所をアウフーベンした、唯一の映像作品は…




「トレーシー・テイクス・トーキョー」ですな、たぶん。




通訳付きポルノですが。




これなら3D化しても大丈夫かと。
Posted by 幸福の王子(金箔・宝石・ツバメなし) at 2010年01月18日 19:39
幼い頃にテレビ放映された香港映画なんてのは断然ウインク日本語吹き替え版の方が面白い出来になってますよね。オリジナルとは別物のBGMが入っていたりするのよねキャラクター(万歳)きらきらちなみにその映画とは「ドラゴンへの道」「ドランクモンキー酔拳」であります泣き笑いかしこ。
Posted by のほほんれのん at 2010年01月19日 15:13
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